◎たかがいびき、時々息が止まるくらいと侮ることなかれ、無呼吸は命に係わる病気です!
◎日中の眠気、生活習慣病、肥満、いびきは要注意!!無呼吸可能性あり!!
◎疑いがあれば早急に検査、無呼吸があればすぐ治療開始が大事!!
上気道(鼻、のど)が狭いことで起こる睡眠時無呼吸、いびき。
上気道の専門家である耳鼻咽喉科では、ただCPAPという機械をつけて寝る治療の提案だけではなく、気道の狭さを治療することで完治を目指せる可能性まで視野にいれてトータル的に診察することが可能です。
そのため睡眠時無呼吸症候群の治療はその治療法を多角的に診れる知識を持った耳鼻咽喉科が一番適した科です。
睡眠時無呼吸症候群とは?
どんな病気?
いびきは呼吸の通り道のどこかが狭くなり、その状態で呼吸をして狭い部分を通るときに発する音です。
その原因としては、鼻の通りが悪くなるアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、のどが狭くなる原因として扁桃腺が大きいことや炎症やその他の病気、肥満で各部分が狭くなること、相対的に顎が小さいこと、飲酒や薬によるものなどがあります。
さらに狭くなると、一時的に閉塞してしまい呼吸が止まってしまいます。
それが睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる状態です。
治療が必要な程度かどうかも含めて検査で無呼吸の状態を把握します。
放っておくと危険です❗
すぐに起こりえる危険としては睡眠不足からくる集中力の低下や強い眠気から、車の運転で事故を起こしてしまったり、仕事でも機械操作を誤るなどの危険があります。また突然死の原因として一部は関連しています。
さらに放っておくと、高血圧、糖尿病や脳卒中、心臓病を起こしてきます。
この病気があり、放置した場合の死亡率が5年後で約15%、8年で約40%という報告もあります。要するに放置すると100人おられたら40人の方は8年以内に亡くなられるということになります。
しかし過度な心配はいりません。この病気を疑う兆候を知り、早めに受診をして原因を探って治療をすれば悪化を防げたり、病気の改善ができます。
どのような症状で疑う?
いびきや無呼吸それ自体は、患者さん自身は分からないので周りの人だけが気づく症状になります。時々呼吸が止まっている、と指摘された。夫が、妻が、子供が呼吸が止まっていることがあると分かればその時点で、程度の把握・原因の究明に早速受診をしましょう!
一方、患者さんが感じる症状としては、寝起きの頭痛・頭重感や熟睡感のなさ、日中の眠気、集中力の低下、イライラするなどがあります。
また、若い頃より体重が増えて、メタボリック症候群の傾向があるとなりやすくなります。
また以下のチェックリストで、3つ以上当てはまるようであれば睡眠時無呼吸症候群の可能性があるため、受診をお勧めします。
検査・診断は?
大人の無呼吸の程度の把握には、アプノモニターという検査で、実際に寝ている間にどのくらい呼吸が止まっているのかを装置を装着して調べてみるしかありません。
当院ではこの検査は自宅でやっていただけるものを導入しておりますので、仕事が忙しく検査が出来ないということも心配ありません。また、トイレやお水を飲むなども自由に行えます。
また無呼吸が何が主な原因で起きているのかを診断するにはのどや鼻の診察やのどの奥をカメラで診る検査をします。
お子さんの場合は、ご両親に睡眠中の呼吸の状態を把握してもらうことが最も重要になります。(陥没呼吸と呼ばれる呼吸時の胸の不自然なひっこみや、口をあけて呼吸している、その後たまに咳き込む、あごを苦しそうに上げていることが多いなど。)
評価が難しい場合は睡眠中のそういった様子をスマートフォンなどの動画撮影をして頂き、お見せ頂ければと思います。
また、扁桃腺やアデノイドが大きくて弊害が出ている間接的な所見として、食べるのが遅い、成長が回りと比べて悪い、漏斗胸がある、いつも口を開けているなども重要です。
お子さんの場合は、以上のような部分にぜひ注意して見てあげてもらい、おかしいようであれば早目に医師に相談ください。
治療は?
原因や重症度によって治療法は違いますが、下記の治療法を必要な分だけ組み合わせたりして治療します。
治療がうまくいくと漠然と感じていただるさや眠さなどが改善しすっきりすること、心臓病や脳卒中などのリスクも大幅に低下します。
①減量
体重の増加によって呼吸の通り道が狭くなり、無呼吸に影響しますので、体重増加が引き金になっている場合は無理のないダイエットをしていきます。
②のどや鼻の治療
これも呼吸の通り道が狭くなる原因になっていると考えられる場合は治療をします。
特に子供さんでは手術をしなくても良くなる可能性がある治療のひとつになりますので重要です。
③飲酒・喫煙習慣の改善
過度の喫煙によりのどや鼻の慢性炎症が起こるため喫煙は控えます。また寝る直前のお酒も影響が強いため控えるようにします。
④CPAP治療
狭くなった呼吸の通り道に呼吸にあわせて空気を送り込む補助をする機械を装着します。
Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとり、CPAP(しーぱっぷ)治療と呼ばれます。
確実に無呼吸を改善できますが、他の治療法により無呼吸がなくなるまで継続する必要があります。
⑤マウスピース装着
程度が軽い場合やいびきの改善のためだけであれば、この治療が効果がある場合があります。
⑥手術治療
子供さんは、扁桃腺やアデノイドが大きいことが原因の場合が多く、そう診断がつけば摘出手術をします。
大人でも扁桃腺が大きかったり、のどが狭いことが原因の場合は手術をして広げるようにします。
いずれの手術もその手術に適した総合病院などに紹介をいたします。