においがしない・弱い(嗅覚障害)場合、なるべく早く耳鼻科受診がキモ!原因の検索、早期治療が大切!医師が解説

2018/05/31

どんな症状?

程度は様々で、全くにおいを感じない程度から、大抵のものはにおうが弱いにおいがしにくいといった程度まであります。

 

また、においを感じにくくなると味覚にも影響があり、味も同時に感じにくくなることが多いのです。(風味障害)

 

原因は?ポイントは2つ!

においを感じるのは鼻の奥、上方の嗅裂(きゅうれつ)と呼ばれる部分です。そこににおいを感じるための神経がたくさん分布していて、そこに空気中のにおい成分が届くとにおいを感じます。

 

嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)の原因は大きく2つに分けられます。

 

1つは、においを感じる嗅裂がふさがってしまっている場合です。

 

ふさがってしまう原因としてはアレルギー性鼻炎やかぜや副鼻腔炎などの炎症で粘膜が腫れてしまっている場合や腫瘍などが原因のことがあります。

 

その時、同時に鼻のつまり感も自覚がある場合も当然ありますが、嗅裂部分だけがふさがってしまう場合には鼻づまりはありません。

 

2つ目は、においを感じる神経が障害を受けている場合です。その原因としては、かぜ、副鼻腔炎、外傷、腫瘍などがあり、認知症など脳の病気の初期症状のこともあります。

 

両方通じて、多い順に副鼻腔炎、かぜ、外傷と言われています。

 

原因の検索には、早期受診が不可欠!その訳は?

はっきり自覚し受診されるまでに時間が経ってしまって、元になっている病気の症状は消えてしまったり、状況を忘れてしまっえ原因が特定しづらくなっていることも多いです。

 

問診や鼻の一般的な診察に加えて、嗅裂部を確認するため内視鏡カメラで確認したり、副鼻腔炎の確認にレントゲンを撮ったり場合によってはMRI検査をします。

 

治療は?原因の特定が困難な場合は、出来得る治療をすべてやってみるカクテル療法も!

ガイドラインに基づいて治療します。

 

原因によって少しずつ治療法が変わってきますが、神経の血流促進薬、ビタミンB12などの内服薬、また嗅裂部にステロイド点鼻薬を使います。

 

点鼻薬を使う場合、下図のように頭をしっかり後ろに反らした状態で点鼻しなければなりません。(嗅裂部に薬を届けるため)

 

点鼻で効かない場合は内服ステロイドを用いることもあります。

 

その他、漢方薬や亜鉛製剤が有効なこともありますので、原因によってそれらを検討します。

 

治療期間も2週間程度で治ることもあれば、お薬を続けることで1年経過して改善してくることもあります。(神経の回復には時間がかはかるため)

 

経過が長いと原因の特定も困難で治りにくいことは間違いないのですが、何年も経過した嗅覚障害が治療によって治ってくることも経験します。

 

そのため最初から諦めてしまわずに一度しっかり治療してみましょう。